アクアリウムの世界では急激なpHの変化は魚に負担をかけるという説があります、pHショックなんて言葉もありますね。
個人的な見解としては換水によるpHの上昇程度では魚体への負担なんて無いに等しく、あったとしても微々たるものだと考えています。
私が釣りをする用水路でも通水が止まる冬場はpHが下がりますし、春になって通水が始まると一気にpHが上がります。
多くの熱帯魚の生息地である南米や東南アジアといった地域では乾季から雨季への季節の変わり目にもっと急激なpHの変化があるでしょうから、水換えによる1.0くらいの数値の変化くらいは余裕で耐えるんじゃないでしょうか。というのが持論です。
ただしこれはpHの上昇に限った話で、急激なpHの低下となると話は変わってきますし、中には水質の変化に非常に敏感な魚もいるかもしれませんから、ケースバイケースという解釈にさせて下さい。
そんなわけで我が家での水換えはpHなんて気にせずにカルキを抜いた水道水を温度だけ合わせてジャバジャバと流し込んでいたのですが、アピストグラマに興味を持つようになって少しはpHに気を遣って換水した方がいいのかなと思い始めました。なにせ3回産卵してくれたにも関わらず稚魚が一匹も残らなかったのですから。
親魚だけならともかく、アピストの稚魚がいるときは足し水程度の換水でもpHの変化を極力抑えるべきなのかなと反省した次第です。
というわけで換水用に予めpHを下げた水をピートモスを使って作ってみようという試みです。
まずは適当な鍋にピートモスをぶっ込みます。
ピートモスは粉末だと扱いが難しいので長繊維のものを使います。
量は適当です。今回は鍋から溢れ出ない程度の量を使ってます。
水を入れて火に掛けます。
煮込むのは成分を抽出することが目的ではありません、汚れを落としたり繊維を柔らかくほぐしたりするのが目的です。なので火に掛ける時間は3分くらいでしょうか。
鍋のお湯を捨ててから水道水でピートモスを洗います。これも汚れ落としが目的です。几帳面な人は水が濁らなくなるまで洗いたくなってしまうでしょうが、どれだけ洗っても完全に透明な水にはならないと思うのでキリの良いところで妥協して下さい。
この時に細かい粉末や目立つ枝状・樹皮状の部分なども取り除いてしまいます。
ピートモスを適当なネットに入れます。今回は台所の三角コーナーに使う水切りネットを使っています。
抽出する成分は水溶性ですので目の細かいネットでも大丈夫です。逆に目が粗すぎると固形分が混入します。
適当な容器に入れて熱湯を注ぎます。
熱湯の方がいいです、熱湯が無理ならお湯でもいいです。お茶やコーヒー・紅茶を淹れる時を考えてみて下さい。水で淹れるのとお湯で淹れるのと、どっちが早く濃く抽出されるのか。
まぁ水出しコーヒーなんてのもあるので時間を掛けて抽出するのであれば水道水を蛇口から直接でもいいのかもしれませんが、少しでも高い温度で抽出した方が効率が良いはずです。
容器はバケツでも何でもいいのですが耐熱温度を確認しないと熱湯の温度に耐えられませんのでご注意を。今回は100均で売っているパンを1斤丸ごと保存できる容器を使いました。耐熱温度100℃だそうです。
100均の安い容器やバケツとかでも底面に耐熱温度が記載されていると思います。記載されていないものは熱いものを入れることを想定していないのだと思います。
熱湯を注いで一晩おいたものが文頭の画像の状態です。結構色が出ています。
茶色い着色はタンニンの効果であって、色が出ているからといってpHが下がっているかというとそうでもなかったりするのが難しいところではありますが腐食酸は抽出されているはずです。
ということでpHを測ってみました。5.6ですからまずまずでしょうか。
これは熱湯を入れてから5日間放置した水を測っていますので、翌日すぐにここまで下がっていたかどうかは不明です。
また、この画像の水は3回目の抽出です。文頭の画像は1回目の抽出の様子なので3回目の抽出の方が色が薄まってますよね。
一度用意してしまえば同じピートモスで何回か繰り返し利用できると思いますが、何回いけるかはピートモスの量や質、容器に入れる水の量に因るでしょうから色々試してみたいと思います。
(3/5現在で7回目の抽出をしています。だいぶ色が薄まってきていますがまだまだいけそうです。)
まぁ、こんな手間暇掛けても現在は雌しかいないんですけどね、アピスト。雄だけ売ってるお店はないかしら。
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