ミナミヌマエビ

メダカやタナゴといった日本産淡水魚から熱帯魚まで、あらゆる水槽のタンクメイトとして人気の淡水エビです。

アジア周辺でたくさんの亜種が生息しているそうで、中国原産のシナヌマエビや台湾原産のチェリーシュリンプなんかも近縁種だそうです。

アクアリストとしては日本原産の亜種のみをミナミヌマエビと呼びたいところですが、ミナミヌマエビとシナヌマエビを実際に見分けられるかというと自信が無いです。

シナヌマエビは釣りの餌として日本に輸入されて、それが自然界に放たれることでミナミヌマエビと交雑して純粋なミナミヌマエビが減少するのではと危惧されているとか。

この辺はニホンバラタナゴとタイリクバラタナゴの関係によく似ていますね。

タナゴや鮒を釣っているとよく似たエビが釣れることがありますが、肉食性のスジエビだったりするので早まって持ち帰らないように気をつけましょう。スジエビはハサミを持っているのでよく見ると見分けが付きます。

ミナミヌマエビとよく比較されるエビとしてヤマトヌマエビが挙げられます。ヤマトと比べるとミナミは体が小さくて寿命も短く、その分繁殖力が旺盛です。
ミナミが淡水で殖えるのに対し、ヤマトが成長するには汽水が必要でなので淡水で飼っているだけでは殖えません。

どちらも苔を食べるとのことでメンテナンス要員としての人気が高いですが、ヤマトヌマエビと比べるとミナミヌマエビのコケ取り能力は非常に頼りないです。
ミナミヌマエビはどんどん増えるので数で勝負といった感じでしょうか。

あまり一般的ではありませんがトゲナシヌマエビというエビも売られています。大きさはヤマトとミナミの中間くらいで、ヤマトと同じく両側回遊、成長に汽水が必要なため水槽内では増えません。

プランクトンなどの微生物を餌にするらしく水草がワサワサと生えている環境なら餌は必要ありません。よく水草などに掴まってツマツマとしている様子が紹介されますが、あれが食事シーンなのでしょうね。

小さなエビですが糞は結構大量です。細くて細かいので掃除も大変。また脱皮した殻も水槽内のゴミになります。

数百匹のエビがいる我が家の60cm水槽では底砂に紛れたエビの糞と抜け殻を掃除することが毎朝に日課になっています。それをしないとコリドラスがエビの糞まみれの餌を食べることになってしまうので。

メスはお腹に卵を抱えて育てます。母親が安心して卵を抱えていられる環境と、産まれた稚エビが隠れられる環境が揃うと殖やす気が無くてもドンドン増えます。我が家は10匹から数百匹まで増えました。

ミナミが増えないとお悩みの場合は上記の環境が揃っていないんじゃないでしょか。キレイな水草水槽じゃなくてもいいんです。モスでもマツモでもいいのでとにかくたっぷり入れておけばいつのまにか増えているはず。

「○○という魚は稚エビを食べますか?」という質問をよく見かけますが、甲殻類の幼生を食べない魚なんて完全な草食性の魚くらいじゃないでしょうか。大概の魚は稚エビを食べます。

水槽の隅から隅まで追いかけ回して食べる魚ばかりではないですが、目の前にいればパクッと食い付きますし、コリドラスがモフモフとしているところにタイミングよく稚エビがいれば避けることなくパクッとします。

とはいえ稚エビも逃げますし、結構すばしっこいので上記のような隠れ場所あれば食べ尽くされるようなことはないです。
過保護にすると増えすぎるので少しくらい食べられた方が丁度良いとさえ思ってしまいます。

エビは水質の変化に弱いと聞きます。確かに弱いと思います。

が、我が家では気にせずに水質が異なる隣の水槽へ移動したり、水温も水質も異なる屋内から屋外へ移動したりしていますがまぁ死にません。丈夫です。

エアコンの室外機の上でフィランサスフルイタンスを育てているプラスチックケースがあるのですが、そこにもミナミヌマエビが入っています。直射日光がガンガン当たり水温も上昇するのでメダカの稚魚は移動させたのですが、エビは捕まらないのでそのままです。
晴れた日中に手を突っ込んでみると35度くらいの水温に達していますがエビは元気にツマツマしています。

個人的な推察ですけど、明確に苦手な水質があるというだけでそれほどひ弱な生き物ではないんじゃないかと思います。

明確に苦手な水質を我が家の例で挙げてみますと、まずは低硬度・低pH。
硬度が下がりpHが下がると魚よりもずっと早くエビや貝がダメージを受けます。

もう一つは酸欠です。
水合わせをするときはエアレーション全開で酸素をたっぷり供給してあげると生存率が上がる気がします。ボトルやビオトープで飼うなら水面を広く水深は浅く。

pHと酸素供給、この2つが鍵なんじゃないかと思う次第です。

色々と書きましたが、可愛いヤツです。
水草を一心不乱にツマツマしている姿は癒やされますし、水槽狭しと泳ぎ回る姿には魚と違った魅力を感じます。

ただし増えすぎると本当に大変なのでご注意を。

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